この記事では、「OODAループ」(ウーダループ)の内容やメリット、デメリット、OODAとPDCAの違いについて、かんたんにわかりやすく解説します。
仕事の進め方として古くから知られている概念「PDCA」。
状況の変化が激しい最近の社会では、PDCAとは別に「OODA」(読み方:ウーダ)ループが注目されています。
そんな「OODAループ」の内容やメリット、デメリット、OODAとPDCAの違いについて、わかりやすく解説します。
スピードが重要視される今の時代に、必要といわれている「OODAループ」。
OODAループを理解して、仕事がよりよく回すために活用しましょう!
OODAループとは
OODAループとは、「Observe(観察)」「Orient(判断)」「Decide(決定)」「Act(実行)」の4ステップをループさせるビジネス手法。
一般的なOODAの読み方は「ウーダ」で、「ウーダループ」と呼ばれています。
OODAループは元々、アメリカ空軍が戦闘の勝率を上げるために生まれた手法で、ビジネスにも有効であることから活用されはじめました。
PDCAとの違いでも解説しますが、Plan(計画)やCheck(評価)がないため1サイクルがはやく、状況変化への対応力が高い手法といえるでしょう。
「小回りが利く即効性の改善手法」ともいえますね。
かんたんな例をあげると、以下のようになります。
OODAループ(例)
・朝8時の乗車する電車が以前に比べて混むようになった。(Observe=観察)
・乗車時間をはやくすれば、混雑を避けられるのではないか?(Orient=状況判断)
・10分前の電車に乗ることにしよう。(Decide=意思決定)
・明日から早く家をでて、10分前にくる電車に乗る。(act=実行)
ここで挙げたのはわかりやすくした例ですが、こうして見ると日常的にも自然と使っている手法です。
状況変化の早い現代社会ですばやい成果をだすために、このループをビジネスに当てはめることが重要。
以下、OODAのそれぞれの内容をくわしく解説していきます。
Observe(観察、情報収集)
最初のステップがObserve(観察)です。
まずは現状を見て、情報を収集しましょう。
顧客や市場、競合など、現状ありのままのデータを収集するステップです。
わかりやすく、「朝の通勤電車で最近、混雑するようになった場合」を例として説明していきます。
Observe(観察、情報収集)
・朝8時の乗車する電車が以前に比べて混むようになった。
・下車駅の近くに大きな会社ができた。
この段階で推測してしまいがちですが、まずは情報やデータだけを集めます。
のちのステップに影響する大事なステップなので、できるかぎり正確な情報を収集しましょう。
他にわかりやすく例えると、
「天気予報を見て今日の天気を調べる」
といった段階です。
Orient(状況判断)
次のステップがOrient(状況判断)です。
観察、情報収集した内容から、どうするべきかを判断します。
Orient(状況判断)
・乗車時間をはやくすれば、混雑を避けられるのではないか?
情報を基に状況を分析し、今までの経験などからどうするべきかを検討しましょう。
天気予報の例をつづけると、
「天気予報だと帰りに雨が降るようだから、傘を持って行ったほうが良いかも」
といったときの、傘を持っていくか考えるステップですね。
「対策の立案」ともいえるステップで、重要でもあり難しい部分でもあるといえます。
そういった場合は問題のムダな部分を考えることで、判断がしやすくなるかもしれません。
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Decide(意思決定)
3つ目のステップはDecide(意思決定)になります。
Observe(観察)、Orient(判断)でどうするか考えた内容を、具体的に決めます。
Decide(意思決定)
・10分前の電車に乗ることにしよう。
ここで肝心なのは、「深く悩まないこと」です。
OODAループは変化に対してすばやく対応することがメリットなので、時間をかけずに意思を決めましょう。
そのためにも、前の2ステップが大事。
天気予報の例で考えると「夜に雨が降る予報」といったような、あいまいな情報だと判断もしづらいですよね。
「18時頃に雨が降る確率は80%の予報だし、傘を持っていこう」
と、しっかりした情報があれば、意思決定もすばやくできます。
Act(実行)
最後のステップが、Act(実行)です。
Decide(意思決定)したことを、実行します。
Act(実行)
・明日から早く家をでて、10分前にくる電車に乗る。
実行とともに、結果がでます。
その結果が状況の変化になるので、最初のステップObserve(観察)に戻ります。
以前より混んでいない電車には乗れたが、席には座れない。
そんなような状況が、結果とともに見えてくるでしょう。
天気予報の例だと、
「予報通り、帰りに雨が降ったので傘が役に立った。でも行きは邪魔だった」
といったところです。
そこから「次から折りたたみ傘にしようかな」といったようなOrient(状況判断)へとループしていきます。
OODAループのメリット
OODAループの大きなメリットは、「状況の変化にすばやく対応できる」ことです。
その具体的な理由を以下3つにわけて解説します。
結果がはやく出る
OODAループを要約すると
「見て、考えて、どうするか決めて、やってみる」
ということになります。
各ステップに時間をかけないため、結果が出るまでがはやいです。
状況変化に強い
1回のループが早いため、急なトラブルや状況変化にすばやく対応できます。
「急遽、1名人数不足になった」
といった場合でも、対応するための考え方として向いています。
個人の裁量が活かせる
OODAループは個人もしくは小規模の集団で行動するのに向いている手法です。
上司や各部署の確認などを必要としないスケールのものが主体となります。
そのため、個人の裁量にゆだねられる部分が多く、主体性や能力を活かせる手法といえるでしょう。
OODAループのデメリット
OODAループのデメリットは「大きな改善には向いていない」ことです。
その理由として、以下の3つになります。
長期的な改善には向かない
OODAループは「すばやい対応」を重視しているため、時間がかかる工程が少ないです。
繰り返し調査やテストを必要とする長期的な改善には向いていません。
良い結果がでない可能性も高い
計画的なものではなく、評価をおこなうこともない、すばやい結果が重視されている手法です。
言い換えれば、「数うてば当たる」に近い性質があります。
そのため、1回のループでは良い結果がでない可能性も高いです。
組織的な行動が取りづらい
主体的に動く部分が多いため、大きな集団になるとまとまりが取りづらくなります。
意思決定のすり合わせなど、大きな組織になるほど時間が必要。
そういったスピードを重視しているため、時間がかかる組織的な行動には向いていません。
OODAとPDCAの違い
PDCAサイクルと似ているOODAループ(サイクル)。
「PDCAは古い、今の時代はOODA」と勘違いされがちですが、お互いに優劣で比較する手法ではありません。
OODAとPDCAの違いを一言でいうと、「目的」です。
OODAとPDCAの違い
・OODA → 状況変化に応じてすばやく対応し改善することを目的にした手法。
・PDCA → 決められた作業を根本的に改善することを目的にした手法。
それぞれの違いについて、具体的に解説します。
OODAは「即効対応型」の手法
OODAは起きている状況を把握し、すばやく対応する「速攻対応型」の手法です。
変化の激しい現代社会でスピーディに対応することは重要ですよね。
その反面、計画や評価といった工程がないため、時間がかかる根本的な問題の改善には向きません。
「とりあえず、この方法で対応してみよう」というのが、OODAです。
PDCAは「中、長期改善型」の手法
PDCAは決められた作業に対し、根本的な業務改善をおこなう「中、長期改善型」の手法です。
PDCAはPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の4ステップ。
OODAと大きく違うのは、「計画」と「評価」があることです。
根本的な改善を目的にしているため、計画や評価に時間をかける必要があります。
OODAとPDCAの使い分け
OODAとPDCAの使い分けかたを例にあげると、以下のようになります。
・「いつもやっている仕事を、もっと効率よく改善できないか」 → PDCA。
・「予定外の仕事が入った。上手く仕事をまわすにはどうするか」 → OODA。
目的を確認し、それによって使い分けるのがベストといえるでしょう。
まとめ
OODAループは、状況変化にすばやく対応・改善する即効型のビジネス手法。
状況変化の早い今の時代に必要不可欠な手法ですね。
あくまでも状況変化に合わせることが目的なので、時間を要する根本的な業務改善には向いてません。
根本的な業務改善には、PDCAを使いましょう。
OODAとPDCAをうまく使い分けることが、よりよい仕事環境をつくるポイントです。
以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。